この研究グループは前身の心血管治療機器開発研究グループから発展したグループで、循環器疾患領域での新たな革新的検査法及び治療法を創出し人類の健康に貢献することを目的とします。
大学ならではの基礎研究による新たなシーズと臨床医として医療現場の肌感覚からの確かなニーズを結びつけることにより心血管治療機器や検査機器、薬物開発により社会実装することを目標とします。
下記の①~④を軸に研究を展開しています。
臨床現場などからのニーズを汲み上げ、現実的な技術をもってスピーディーな開発を実現することを目標とします。
基礎研究で得られたシーズを社会実装化するために中大型動物(イヌ・ブタ等)を用いて適切なモデルを作成し前臨床試験を行います。社会実装化の為に必要な新たな手法及び医療機器開発も同時に行います。
薬事承認間近あるいは直後の医療機器において、本格的な実装化に向けての必要なデータを取得するために臨床研究を行います。第1相-2相の臨床試験をターゲットとし、主にベンチャーを含む企業と連携した心血管治療機器の開発研究を共同で行います。
基礎研究段階のシーズ(新薬・医療機器)に対し社会実装化に主眼をおいて評価しご相談を承ります。尚、依頼のあったアカデミア及び企業とは秘密保持契約を結んで行います。
重症心不全の予後は極めて不良であり、心臓移植および左室補助心臓の代替となりうる治療が必要とされおり、多能性幹細胞を用いた心筋再生医療が重症心不全患者に対する治療として期待されています。 細胞移植としては開胸手術での直接注入や細胞シートの貼布術が一般的でありますが、侵襲度が高いわりに生着率が悪く、また組織の癒着が生じるため再手術を行いにくいなどの課題が残っています。本研究開発においてはiPS細胞研究所の吉田 善紀先生と共に研究をすすめており、当グループでは特殊なカテーテルを用いた細胞移植法の開発を行うことで、低侵襲で繰り返し投与可能な治療法を確立し、再生医療をより身近なものとすることを目標としております。
2020年よりiACT京都大学医学部附属病院 先端医療研究開発機構)及びAMED「官民による若手研究者発掘支援事業(社会実装目的型の医療機器創出支援プロジェクト):https://medtech.m.u-tokyo.ac.jp/introduction/makoto-watanabe/)より支援を受け、京都市内の金属加工メーカーと共にプロトタイプカテーテルを作り、現在カテーテルメーカーと治験に向け準備を進めている段階です。
下図は新規カテーテルが従来の注入カテーテルよりも十分な量を打ち込めることを確認した実験です。
下肢閉塞性動脈硬化症による慢性下肢虚血(Fontaine 分類Ⅲ及びⅣ度)患者を対象として、bFGF(Basic Fibroblast Growth Factor:塩基性線維芽細胞増殖因子)とアテロコラーゲンの混和物を虚血局所に投与することで血管再生を促し疼痛を改善する新しい治療法の医師主導治験を行っております。
高齢化が進む中で、日々の疾病管理や急変時対応の必要性が高まっており、種々の見守りセンサーが開発されています。しかしながら、多くのセンサーは身体に接触・装着する必要があり、継続的なモニタリングはストレスにつながる可能性があるのに加え、体動に伴うノイズが大きな課題となっています。また、一部では電波やカメラを利用した非接触生体センシングも提案されていますが、接触型に比べて精度が劣るものが多く実用化は困難でした。
上記のような課題を解決するため、共同研究者である京都大学大学院工学研究科阪本卓也准教授と株式会社マリらは、自動車の自動運転システムに用いられる超広帯域無線(ultra-wideband: UWB)レーダー技術を基盤として、呼吸数・心拍数を高感度に計測する技術を開発し、2021年2月より研究機器としてVitawatcherの販売を開始しました。この機器は、呼吸・心拍に伴う体表面の微細な動きを観測し信号処理することで、遠隔かつ非接触で呼吸数・心拍数を計測できます。また、この帯域のレーダーは、衣服や布団を通過し、個人を判別して追跡することが可能であるなど、これまでの非接触モニターにないメリットがあります。また、その安全性に関しても、UWBレーダー技術はスマートフォンや自動車の衝突被害軽減ブレーキシステムなどの分野でも利用されています。
そこで我々は成人の心不全患者や小児の乳幼児突然死症候群(SIDS)や窒息事故予防に対応すべく、企業と共同でそれぞれのニーズにあった信号処理アルゴリズムを最適化することを行っております。
京都大学生命科学研究科の垣塚先生らにより開発されたVCPのATPaseの阻害剤(KUS剤:Kyoto University Substance)を用いて、当科・尾野グループでは心疾患への応用をおこなっているが、当研究室でブタ心筋梗塞モデルや高頻拍イヌ心不全モデル作成を行い、その評価を行っている。前臨床試験として着実に成果(JACC Basic Transl Sci. 2019)を挙げており、研究室から生まれたシーズを前臨床試験まで行えた当研究室のロールモデルとなっている。
AMI株式会社(https://ami.inc/)が開発した新規心音図検査装置に対し、学術的な面からサポートしております。心音図検査装置AMI-SSS(下図、管理医療機器(クラスⅡ)・特定保守管理医療機器)を用いた臨床研究を行っております。
薬剤溶出性バルーン開発、薬剤溶出性ステント開発、大動脈弁拡張用バルーンカテーテル開発、3次元プリンターを用いたシミュレーションシステムの開発、カッティングバルーンカテーテル開発、動物モデル開発、ベンチテストによるFractional Flow Reserve解析、再生医療、etc
興味がある研究者の方、企業の方ご一報いただければと思います。
責任者:渡邉真