私たちはES/iPS細胞由来の心筋細胞および血液細胞を用いた臨床応用(再生医療、創薬、疾患研究)を目標として、下記のテーマに取り組んでいます。
重症心不全の患者に対する次世代の治療として心筋再生が期待されています。これまで様々な細胞を用いた再生医療が研究されてきましたが、ES/iPS細胞は心臓の機能を回復させるために十分な量の心筋細胞を作製することができるため、再生医療への応用が期待されています。
当研究室では、
の研究を行い、重症心不全に対する再生医療の開発を目指します。
患者の細胞から樹立したiPS細胞から誘導した細胞を用いて試験管内で疾患を再現することにより、疾患のメカニズムや創薬研究が可能になりました。疾患特異的iPS細胞研究はヒトの心筋細胞、神経細胞、造血系細胞などを安定して誘導することが可能になったことや、CRISPR/Cas9などの遺伝子編集技術により遺伝子異常を修飾することが可能になってきたこともあり、今後の医学研究において重要な役割を担うことが期待されています。当研究室では心疾患(心筋症など)の患者の細胞から樹立したiPS細胞を用いて、疾患のメカニズム解析や治療薬の開発を目指しています。 病態モデル研究においては心筋立体組織の作製技術などを用いて病態モデルの構築・新規治療治療の探索・開発研究を行います。また臨床情報や生検組織の解析などを統合し、疾患研究を進めています。
iPS細胞由来心筋細胞は創薬や薬剤の毒性検査においても注目されています。創薬や薬剤の毒性検査には成人心臓組織に近い成熟した心筋細胞・組織が適していると考えられます。また心筋細胞は心室筋、心房筋、ペースメーカー細胞などさまざまなサブタイプの細胞が存在します。再生医療や創薬、疾患研究のためには目的に応じたサブタイプ、成熟度の細胞を使用することが重要と考えます。さらに心筋組織には心筋細胞以外にも非心筋細胞も存在しており、これらの細胞も含めた立体組織を作製することが重要です。私たちの研究室では心臓の各領域のオルガノイドやEngineered Heart Tissue (EHT)などの成熟した心筋組織を作製し、再生医療や創薬、疾患研究に活用することを目標としています。
ES/iPS細胞は分化誘導時に特定の細胞への分化しやすさ(分化指向性)は細胞株ごとに異なります。心筋細胞などの中胚葉系の細胞への分化・成熟化におけるES/iPS細胞のふるまいを解析することにより、ES/iPS細胞のふるまいを規定しているメカニズムの解明、多能性維持・分化のメカニズムの解明、さらにそれらの知見を用いて再生医療などの臨床応用に最適なiPS細胞株の樹立法、分化誘導法の開発を目指しています。
大学院生を募集しています。
iPS細胞の臨床応用に向けた研究に興味のある方、心疾患の新しい治療法の開発や創薬に興味のある方、吉田までご連絡ください。
e-mail: yoshida-g*cira.kyoto-u.ac.jp
お手数ですがメール送信の際*を@に変えてください。